まほろば

昔を懐かしむことはあっても
昔に戻りたいとはあまり思ったことはない

だが
これを聴くと
私はあの頃に戻りたいと強く思うのだ
其の前後で私はもっとも辛い時間を過ごすという
そんな中での一番幸福だった時代

我儘なことだとわかってはいる
しかし私は
其の限定された「其の時」に一時でも戻りたい
何もかもがバラ色で虹色に思えたあの頃に
勿論、其の時には其の時なりの不安や焦燥は抱いていたのだが

戻りたい
或いは死の夢の中で永遠にその中で生き続けたい
其の夢の中では確実にこの曲は流れていることだろう

貴方の詩が読みたい

Ｓよ
吟遊詩人の君よ
詩とは何だろうな

言葉を世界に立てるものだと言う者もいる
Ｓよ
貴方ならどう言うだろうか
防御なのか？
攻撃なのか？
抵抗なのか？
私にはそうは思えぬ
私は世界に触れたいから
詩を紡いでいたように思う

Ｓよ
あの頃は楽しかったな
詩はもっと自由だった
自由で悲しくて淋しくて
そして
愛しかった

貴方の詩を読みたい
手元にある貴方の詩集はもう何度も読んだよ
あなたの新しい詩を読みたいんだ

貴方は今でも書いているか？
書いていて欲しいと願うよ

貴方と話がしたい

Ｓよ
貴方と話さなくなってどれくらい経つだろう
貴方は何処で如何している？

貴方と話がしたい
たわいない話でもいい
今年は半分成功したことも伝えたいのに

貴方に私の言葉は届かない
そして
貴方の言葉も私には届けられないのだ